カモメのカバールナ

メトロA線西の終点Dejvicka。最近になって住宅地として注目され始めている人気のエリアだが、プラハ城やストラホフ修道院に比較的近いにもかかわらず観光客にはあまり縁のないと... More

メトロA線西の終点Dejvicka。最近になって住宅地として注目され始めている人気のエリアだが、プラハ城やストラホフ修道院に比較的近いにもかかわらず観光客にはあまり縁のないところである。そんなDejvicka駅から徒歩1分という好アクセスな立地に、すてきなカフェを発見した。名前はCERVENA TABULKA。赤い板という意味である。

店はガラス張りになっているのだが見通しが悪く、入口が通りに面していないため少々見つけにくい。うっかり通り過ぎてしまいそうな店構えだ。しかしドアを開けると、店の名前の通り赤がアクセントになっているモダンな空間が広がっており、かわいらしい（時にはまじめそうな）店員さんが気軽に迎えてくれる。小さな店だが2階もあり、中央に吹き抜けがあるのでとても開放的だ。 写真 私はこの近くの英語学校に通っていたため、授業の前後によく利用していた。いや、そうでなくてもこの店を密かにひいきにしていたのである。店員が気さくでキュートなこと、かなりの確率で座れること、店内がおしゃれで落ち着いていることも理由として挙げられるが、一番評価しているのはテーブルと椅子のレイアウトであったりする。この小さな店に凝縮されている居心地のよさが、どの席に座っても感じられるのはあっぱれと言いたい。

まず、店に入ると正面には小さな本棚が置いてある。どうしてもほこりっぽく、あるいは寒々しくなってしまう入口付近だが、この本棚のおかげで室内とのゆるい境界ができ、ドアからわずか１ｍほどの席でもかなり落ち着けるのだ。その他の1階の席は、長椅子の前にいくつかのテーブルが置かれた形になっている。長椅子の上にはさまざまな大きさ、硬さのクッションが適当に置かれているので、好きなクッションを集めて好きな空間を自分で作ることが可能である。1階の照明は少々暗めになっており、眺めるように雑誌や本を読んだり、アルコールなどを頼んでしっとりとおしゃべりするのにぴったりだ。店員との距離が近いので、気軽に注文できるのも便利な点である。

一方、入り口横の階段を上り2階へ行くと、吹き抜けを囲むようにコの字型の明るいスペースが広がっている。その一番奥は、向かい合った低い長いすと低いテーブルがタイトに配置されており、我が家のリビングのようだ。大きなクッションを抱えたり、もたれたりしながら、5，6人が集まってわいわい雑談する姿をよく見かけた。その他6つの2人席が壁沿いに並んでいる。カフェにしては大きめのテーブル、テーブルと椅子のバランスのとれた高さは書きものをしたり、調べ物をしたりと、何かの作業をするのに最適だ。

一人でも、二人でも、大勢でも。マルチに対応してくれる小さな隠れ家である。

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